JR上越新幹線


東京駅から新潟駅を結んでいる新幹線。
東京から新潟まではおよそ2時間半。
そのうち、群馬県区間は埼玉県境から新潟県境まで。
駅は高崎駅と上毛高原駅の二つである。

群馬県内の線路延長は・・・と言うと、実は詳しくわからない。
JR東日本なら当然しっているであろうけど、公表されていないのである。
駅間距離しか公表されていない。

JR東日本にメールで問い合わせてみたが「公表していないデータですので」教えてもらえず・・・

とりあえず、地図上で曲がっている箇所を考慮しながら直線距離だけ計測してみると

新潟県境〜上毛高原駅:16.7q
上毛高原駅〜高崎駅:46.6q
高崎駅〜埼玉県境:11.5q

と、言う事でおおよその距離ではあるが、群馬県内の上越新幹線の距離は74.8q程度となる。

日本海と太平洋を結ぶ横断系の新幹線の一本目という事で開業に期待のかかっていた新幹線であった。

全国新幹線鉄道整備法(略称:全幹法、昭和45年制定)による整備新幹線であり、1971年に基本計画決定及び整備計画決定を経て着工。
1982年に国鉄による管理運営のもと、大宮〜新潟間が開通する。
東北新幹線の大宮〜東京間の開業に合わせて営業距離も延伸された。
現在の営業距離は約303km。
法律上の起点は大宮駅である。
(大宮〜東京間は法律上は東北新幹線、同じく東京〜高崎間を走る北陸新幹線の起点は高崎)

今後の延伸計画は、大宮〜新宿間(いわゆる新幹線新宿駅構想)や新潟〜新潟空港間、羽越新幹線への連絡等があるが、どれも実現には程遠い状況にある。
そもそも新幹線新宿駅が計画上の起点ではあり、厳密にいえば全線開業にはなっていないものの、既に新幹線新宿駅構想が現実的ではない状況になっており、これ以上の延伸は無いと思われる。
建設に対しては埼玉県にて大規模な反対運動はあったものの、群馬県とは関係ないので割愛。

走っている車両は、現在は「とき」「Maxとき」「たにがわ」「Maxたにがわ」の四車種。
全て群馬県内を行き来する車両である。
(ときは新潟まで、たにがわは越後湯沢(冬はガーラ湯沢)まで)


<上越新幹線の位置 まさに県を真っ二つ!>

路線特徴としては、特に高崎駅〜上毛高原駅〜越後湯沢駅間では三本の長大トンネルによって構成されている点である。

大清水トンネル 22.22q:上毛高原駅〜越後湯沢駅間(日本第5位)
榛名トンネル  15.35q:高崎駅〜上毛高原駅間(日本第8位)
中山トンネル  14.86q:高崎駅〜上毛高原駅間(日本第10位)

日本のトンネル延長上位10本のうち3本がこの路線に集中しているという異例の地中化率w
越後湯沢から高崎までは地下鉄ではないかと勘違いするほどの地中ぶり!
・・・まあ実際は地中とはいえ「山中」だから地下鉄というわけではないんだが。
駅前後以外では吾妻線と交差する渋川市のほんの1km程がお日様を見ることができる場所である。

当初は1976年開業を目指していたものの、中山トンネルの路線変更、異常出水、上記の埼玉県区間における地元の反対運動、大清水トンネル内での火災事故等で遅れに遅れ、結果としては1983年開業。


<高崎駅 上越新幹線車内より撮影 高崎の次の駅は三つもあるのにすべて各駅停車という、まさに交通の要衝>

ただ、開業当時はMax系車両は当然ないものの、車両の愛称も現在とは異なるものが営業していた。
「とき」は同じだが、もう一系統は「たにがわ」ではなく「あさひ」という車両。
本州を東から西に横断するイメージ(実際には南から北だけど)から太陽が昇るイメージで、この名で決定したのだろうけど、悲しい不幸がw
実は開業から15年後の平成9年、「とき」が廃止になり「たにがわ」が走る事となった。
これで「あさひ」「たにがわ」の二本立て(当時はすでにMaxが運行していたので実質四本立て)の運行が進むと思いきや・・・
その5年後に新潟県の悲願かどうかは分からないが「とき」を愛称に戻す動きが起こり、なんと「あさひ」を「とき」に改称してしまったのだ。
新幹線が開業する前まで、上野〜新潟を結ぶ「特急とき」があり、新潟県の鳥であるトキとの愛着もあり、悲願達成といったところか。
さらに、平成9年に開業していた北陸新幹線の愛称が「あさま」であり、「あさひ」との混同を解消するために「あさひ」を廃し「とき」の再登場となったのである。
変遷が激しい・・・

だが、この「あさひ」は開業以来とんでもない記録を出していたのだ。

平成2年の3月より、下り線側の上毛高原〜越後湯沢間で営業速度が時速275qだった。
これは当時の日本最高速度なのである。
しかし、その2年後の平成4年に「日本最速」として東海道新幹線でデビューした車両「300系のぞみ」
「ひかり」より早い新幹線として期待を背負った新車両であるが、実は営業速度は時速270q。

なんと、当時で「日本最速」であるはずの東海道新幹線「300系のぞみ」より、上越新幹線「あさひ」の方が早かったのである!
まぁ、その後にはのぞみが500系、700系と改良されて日本一は名実ともに「のぞみ」のモノに。
さらに上越新幹線の駅が増設されて営業速度が時速240qに統一されたことにより、落ち着いた運転になりましたとさ。


<上毛高原駅 上越新幹線車内より撮影>

と、まあこんな感じで群馬県の貴重な足として欠かせない存在である上越新幹線。
最期にこれから起こるであろう問題を述べてみる。

それは「名称問題」

上越新幹線は開業当時から「上越新幹線」
大宮〜新潟(もしくは新宿〜新潟」である本線の名称
「越」の部分はもちろん「越後(新潟)」の越である。
では「上」は?となると、これは「上野(群馬)」の上なのだ。

起点駅が群馬ではないのに「上〜越」新幹線とはこれいかに?というところではあるが、実は単純。
並行している在来線が上越線だからである。
上越線は1884年の高崎〜前橋間開業を皮切りに各地で建設が進み最大の難所である清水峠を昭和6年にぶち抜き全線開業(高崎〜宮内間)
名前の由来で行けばばっちり「上越線」という理屈には問題がない。

だが、北陸新幹線が延伸するに従って問題が発生することになってしまった。
それが「北陸新幹線上越駅(仮称)」の存在である。

現在、北陸新幹線は高崎〜長野間まで開業され、2014年度末の長野〜金沢間の開業に向けて建設が進められている。
基本的には信越本線に並行する鉄道として北進し、新潟県上越市の途中から西に曲がって北陸本線と並行する形になる。
ただ、北陸本線と信越本線の重要な連絡駅である直江津駅は場所が海岸に近く周辺は住宅地が密集しているため新幹線駅を設置することが現実的に困難。 そこで計画では直江津駅から南に3つ目の脇野田駅の付近で新駅が検討されている。
上越市に初めてとなる新幹線駅ができることになるため、駅名は「上越駅か!」と言われるが、関係者が悩み始めたわけである。

上越新幹線の通る駅には上越駅は無い、上越市にある上越駅を目指して上越新幹線に乗っても上越市には行かない・・・と
そもそも、日本中の駅の中に「上越駅」なんてものは存在しないのだから。
(※北海道に昔、上越駅(かみこしえき)はありましたが、今は信号場です)
おまけに言うと「上越国際スキー場前駅」は上越線の駅=上越市ではない(南魚沼市)
そもそも「上越市」ができたのは昭和46年、上越新幹線の名称の由来となる上越線よりだいぶ後の話
「上越」とはもともと「上越後の略だから」という意見もあろうが、上越後は「かみえちご」なんだからちょっと違うと思う。

そこで上越市役所は全国に向けて新駅の駅名に関するアンケートを取り、その結果集約が昨日(H23.10.5)公表された
(この記事はだいぶ前に書いていたが、アップを待っていたのはこの日を待っていたのだ!)
地元の地域紙の情報を見てみよう。
上越タイムス http://www.j-times.jp/news.php?seq=4867
『新幹線駅名募集、最多は「上越」 人気投票とせず“選定”へ』

・・・え?いいの?

市井の民からすれば「そんなん間違えるわけないじゃん」と言ったところか
いやいや、上越市民の多数意見かもしれない・・・と記事を読み進めてみる。

『地域別は本県を含む中部、関東、近畿、北海道、東北、九州でいずれも「上越」が最多となっている。 』

・・・ふーむ。
ただ、別のデータをみると逆に上越市民が「上越駅はヤダ」と言っている側面が見えてくる
上記の上越タイムス内にある
『村山市長はこの日の部会の冒頭、「新幹線駅名を考える会」から受け取った駅名の要望書を佐藤部会長に手渡した。
 同会では3万6371人にアンケートし、6案から3番目に多かった「妙高高田」を新駅名にふさわしいと要望した。
 村山市長は部会の検討の参考にし、議論を進めてほしいとした。
 同会のアンケートで「上越」は5位だった。 』
という部分
この「新幹線駅名を考える会」のサイトに詳細がある。
http://station-name.jp/
このサイトによれば
 越後高田駅   10,743件 29.6%
 越後上越駅    9,457件 26.0%
 妙高高田駅    4,242件 11.7%
 妙高上越駅    4,077件 11.2%
 上越駅      2,964件  8.1%
 妙高越後高田駅  1,429件  3.9%
 その他      3,459件  9.5%
というアンケート結果がある。
中身についても地元のイベント等でアンケートを取った結果なので、おそらく地元の意向が強く出ているのだろう。
「上越は1位じゃない」とはいいつつも「○○上越」を含めて考えれば
  ○○上越 45.3%(上越駅含む) 
  ○○高田 45.2%
と、ほぼ伯仲の結果。

個人的には、歴史的な経緯を見ても「頸城野駅」でいいと思うのだがね。
字面もかっこいいし。

上越市のアンケートも、1位が「上越駅」になったとはいえ「アンケートを基本に選定する」とのこと。
関係者は「上越駅では、なんとなくまずい」と思っているのだろううか。
前の市長の時は「上越線や上越新幹線のほうの名前を替えてほしい。お金はこちらが負担してもいい」とか言っていた記憶があるが、はたしてさてさて

まぁ、でもそれよりかは「上越駅(仮称)には新幹線は全車両停車するのだ!じゃないと建設分担金払わない!」とゴネている知事のおかげさまをもって開業が遅れる可能性の方を心配すべきかもしれないが。
↑この発言で、他の富山・石川・長野の知事から「お前んとこ、もう1本新幹線(上越新幹線のこと)走ってんじゃん。2本目なのに文句言うなよ!本当に必要なのはこっちなの!」と窘められたりもしているがw

・・・と、まぁ最期は群馬とは関係ない話になっちゃいましたけど、日本海と太平洋を結ぶ上越新幹線
その真中にある上州群馬
まさに上毛カルタにある「関東と信越つなぐ高崎市」のとおり、交通の要衝ですね♪と強引に〆。

余談ではあるが、新幹線が通っていながら県庁所在地に新幹線駅がないのは、群馬の他4県(茨城・岐阜・滋賀・佐賀)
さらに「新幹線駅が他に有りながら、県庁に駅がない」状態なのは、前橋・岐阜・佐賀の三つ。
但し、岐阜市は隣市の羽島市に「岐阜羽島駅」があるため「新幹線駅が通っている県なのに、新幹線駅名称に県庁所在地名称が無い県」は群馬と佐賀になる。
さらにさらに、佐賀は現在は九州新幹線が鳥栖市しか通っていないが将来的には長崎新幹線が佐賀市を通過して長崎市に至る(はず)
予定としては、在来線活用のフリーゲージトレインだから新駅にはならずとも佐賀駅が「新幹線が止まる駅」になる(はず)
そうなるといよいよ・・・

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